大学で行われている研究は「専門的で難しそう」と思われがちです。
「私たちの日常とは関係がなさそう」「何の役に立っているのか分からないので興味が持てない」と感じる方も少なくありません。しかし実際には、私たちの暮らしの中で役立っている技術やサービスにおいて、大学での地道な研究から生まれているものも多くあります。
「研究と私たちを取り巻く世界が地続きであること」をウェブサイトを通して発信することで、研究者の活動はより社会に届きやすくなります。
そこで今回は、大学広報やウェブ担当者が、研究者や研究内容の紹介を効果的に行うための5つの施策をご紹介します。研究の専門性と身近な出来事を結び付け、一般の人が興味を抱くような工夫を行いましょう。
研究が意外なところで応用されていることを伝えると、「自分ごと」として興味を持ってもらえます。読者の身近な出来事を話題にするのがコツです。研究者の研究内容から連想して、これはネタにならないかな、とチーム内でブレストしてみるのが良いでしょう。
定番ですが、時事ネタと結びつく研究がないか、常にアンテナを張っておくことは大切です。 似たような出来事がニュースになると、過去の記事でもあらためてスポットが上がり、急にページビューが伸びる現象があります。
時事ネタを取り上げることは、その時限りの一過性をもつ記事ではなく、それに関連づいた研究の再発見、再理解を促すことのできる長期的にも大切なアプローチなのです。
研究のポイントを1枚の画像や短文にまとめた「研究ハイライト」は、視覚的にわかりやすく、多くの人の目に触れやすくなります。本文は読まれなくとも、ポイントをまとめたアイキャッチ画像は見てもらえる可能性があります。またアイキャッチ画像は、SNSでのシェアによる拡散効果も見込めるでしょう。間口は広く、敷居は低くを意識すると、一般の読者へのリーチが高まるかもしれません。
毎回一から作るのは大変なので、ひな形を用意しておくと良いでしょう。
研究者の情熱や研究のリアルな姿を、映像で伝えると親しみが湧きますよね。難しい内容でも、顔が見えることで「見てみようかな」と思われる可能性が高まります。また、実際の人物が登場する映像は信頼感も増します。
研究そのものも、文章では難しい表現となってしまう内容を、短いアニメーションにまとめることで、理解が促進される可能性があります。短いアニメーションはSNSでシェアされる可能性もあります。
1本の記事にすべての情報を詰め込むのではなく、テーマごとに分けて連載形式で紹介すると、読者の理解が深まり興味も持続します。1つの切り口では興味を持てなかった読者も、別の切り口なら興味を持てるかもしれません。長文が良いのか、テーマごとに簡潔にした方がいいのか、その時々で戦術を練りましょう。
ご紹介した施策は、どれも真新しいものではありません。しかし、当たり前のこと、王道と言われる方法を地道に実施していくことはとても大切です。いきなり多くのことは始められませんので、できることから、出来る範囲で始めましょう。
大学の研究は私たちの日々の生活を少し便利にしたり、安心をもたらしたりと、身近な場所で役立っています。研究者を紹介するサイトが、前提知識のない一般の方を相手にしているのか、あるいはある程度の前提知識を持った人がより深い知見を得られる専門的なサイトなのか、どういった方々に届けたいかを忘れずに、記事のコンセプトを決めていきましょう。